1年以上このコラムを担当しておりまして、実は一番反響が大きいのが「現地での日本人の生活」です。これはセミナーをやっても同じで、少し難しい税務や会計の話では”うつらうつら”している受講生の方も「現地の日本人コミュニティの実態」というパートになると目を覚ましてくれます。
今日は、そんな現地インドの日本人の生活についてお話ししたいと思います。
▼目次
「住みやすさ」は都市によって全然違う
ひと言で「インド駐在」と言っても、インドは非常に広い国です。気候はもとよりインフラ、法律も地域によって異なるのが実態ですので、その駐在の大変さ…は都市によって全く異なります。同じヨーロッパといっても西欧・北欧・南欧・東欧で全く雰囲気が違うのと同じです。
私の住んでいるデリーは首都ということもあり、インドの他都市駐在員がうらやましがるインフラがあるので、駐在としてのハードルは低いと思います。日本食レストランもたくさんあり、豊富な種類の食材も手に入りますし、オーガニック野菜も充実しています。
バンガロールも日本人には比較的住みやすい町です。気候が穏やかであり、外資のIT企業が多いので外国人向けのサービスも充実しています。気候は暑く、物価は高いですが、その意味ではムンバイも比較的住みやすいかもしれません。
一方、チェナイやハイデラバードは大都市なのですがまだまだインドローカルの香りを残していますし、気候も暑いです。カルカタはそのインドローカル色をさらに濃くした町です。
家族帯同はするべき?避けるべき?
これもよくされる質問です。当然前述と同様、都市にもよるのですが、ご存知の通り、インドは世界最悪クラスの大気汚染大国です。小さいお子さんがいらっしゃる場合には、肺への負担が大きいので正直おすすめしない…というのが素直な感想です。
ただ、インドは、ゴルフを除いて日本人が楽しめる娯楽が少ない国でもありますので、一人駐在は非常に寂しいのも事実です。ゴルフが好きなのであれば、思いっきり楽しんでいる方もいらっしゃいますが、やはりご家族と一緒に暮らすのは、辛い駐在生活の助けになるのもまた事実です。
個人的な意見ですが、「お子さんが小さい場合は単身赴任」「お子さんがある程度大きい or お子さんがいないのであれば、家族帯同」が良いかと思います。またその場合、帰国後の進学をどうするかという点も重要になります。
現地の日本人コミュニティに変化!?
加えて「現地日本人社会」についても質問もよくあります。
ひと昔前はデリーの日本人社会は日本人が少なかったこともあいまって、良くも悪くも濃密で、それに困惑する奥様が多かったことも事実です。ただ、デリーに関して言えば、日本人が増えてこともあり、良い意味で人間関係が希薄になってきています。
逆に言えば、まだまだデリー以外の都市では人間関係が濃密ですので、このあたりデリー以外の都市への家族帯同の際には事前にご家族で話し合う方が良いかもしれませんね。
まとめ
インド駐在の大変さは「都市」による。
デリー、バンガロール→ムンバイ、チェナイ、ハイデラバード→カルカタや他の地方都市の順に大変。
駐在前に、①気候 ②大気汚染問題 ③就学問題 ④日本人社会の濃密さ…についてリサーチして事前に家族で話し合うと良い。
プロフィール
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士
大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。
事務所HP:http://in.nacglobal.net/