海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。
会社の規模が大きくなると業務が細分化され、貿易業務の全体像が見えにくくなることがあります。心当たりがありますか?
ためしに次のクイズをやってみましょう。日本からの「輸出」についての正誤問題です。誤の場合はどこが誤っているかも考えてください。
Q1 間接貿易も直接貿易も、見積りには消費税を加算する。
Q2 ホームページを見た海外の業者から引合いがあった。当社工場渡し条件(EXW)で見積りした。
Q3 初めて取引する海外の業者向けに、当月末締め翌月末払いの決済条件で見積りした。
Q4 輸出港から輸入港までの輸送費を買主が負担するインコタームズは次のどれか?
A:CIP B:FCA C:CIF
Q5 インコタームズは、費用負担、品物の危険(リスク)負担の範囲、および所有権の移転、について規定したものである。
Q6 CIF Bangkokという条件では、保険証券はタイで発行される。
Q7 CIP条件での売主の危険(リスク)負担は、品物が本船の船上に置かれた時点である。
Q8 外航貨物海上保険の保険金額は一般にインボイス価格と同額である。
Q9 FOB条件の品物が船積み前、日本の港湾施設(コンテナヤード)にて保管中、台風による影響で破損した。保険補償を求め保険会社に連絡をとった。
Q10 前受け金取引なので信用調査を行っていない。
Q11 燃料代の急激な変動に対応する調整運賃をCAFという。
Q12 混載貨物はCFS(コンテナフレートステーション)に搬入する。
Q13 船荷証券B/Lにおいて通常、Shipperは荷送人(輸出者)、Consigneeは荷受人(輸入者)、Notify Partyは貨物の到着案内先、である。
Q14 航空貨物の容積計算は、梱包貨物の3辺を㎝表示して縦横高さを掛け5,000で割った値を容積重量kgとする。縦40㎝、横50㎝、高さ30㎝の容積重量は12㎏である。
Q15 信用状L/C条件と実際に作成した書類の記載内容が一致しないことをディスクレ(discrepancy)と言うが、カンマやハイフンの誤記は軽微な不一致と見なされ、特に問題はない。
Q16 輸出者は船積み確認後、船名、出航日、船積み港、品名、数量、金額、等を輸入者に連絡する。これをshipping adviceという。
Q17 輸入申告価格はCIFなので、FOB/FCA条件の場合は運賃証明書や保険料明細書を税関に提出する。
Q18 輸出者は輸出通関に必要な書類として、Invoice、Packing List、Shipping Instructionを税関に提出する。
Q19 輸入時、通関業者は輸入申告を行い、輸入許可を得てから、関税を支払う。
Q20 輸出時の安全保障貿易管理業務において、商社はメーカーから提出されたリスト規制品の該非判定情報を信じて、そのまま輸出申告に使用してよい。
貿易の流れを配属された新人に教えることができますか?
各クイズは上の図でそれぞれの業務に対応します。各業務の中で代表的なものを流れの下に書きました。例えば、開発・調査における代表的業務の中に信用調査がある、と理解ください。その下のQ10とQ20は、このクイズは開拓・調査に特に関係があるということです。( )付きのQは、やや関係があるという意味です。
さて、皆さんの答えはどうでしょうか?
次回以降、2回に分けて答え合わせと解説をします。
まとめ
日々貿易業務に携わっていても、全体像や業務の流れを把握する機会がなかなかありません。どういう流れか、各業務がどういう意味を持つか、を理解することは仕事の質を高める上でも大切です。
【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、民間企業およびジェトロや中小機構などの公的支援機関向けに提供している。
URL: https://sub.toro-llc.co.jp/