海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。
展示会ではできるだけ多くの人の目に触れることが重要です。見てもらい、触ってもらい、(食品の場合)飲食してもらい、動かしてもらうことで、人々に覚えてもらえます。実物展示、試供品配布を始め、ポスター、パネル、タペストリーといった販売促進ツールもフル活用したいのが展示会です。
一方で、不特定多数の目に触れるということは、悪意の来場者にも見られるかもしれない、ということです。
人だかりの展示会ブース、その中心には素敵なデザインのxxがある。『これだ!』とひらめいた悪意の来場者が写真に撮り、ブランド名からデザインまでそっくりのコピー商品を作るかもしれません。
シリーズ2回目では、まず展示会の探し方をお知らせし、次に人目に付くがゆえの「真似」されるリスクをどうやって防ぐか、ということをお伝えします。
自社に合った海外展示会はこうやって見つけよう
海外展示会の探し方
そもそもどうやって海外展示会を探したらよいでしょう?
展示会探しの王道は、日本語ではジェトロのJ-Messeがお勧めです。産業分野、国や地域(都市)、開催時期、などの細目検索ができるので非常に有用です。
https://www.jetro.go.jp/j-messe/
英語の検索ならばキーワード検索で exhibition, trade show, expo,などの用語でいろいろと検索することができます。
英語での検索方法も含めて、(独)中小企業基盤整備機構の「海外ビジネスナビ」が詳しく説明しています。海外展示会の活用を考えている企業さんは是非一度お目通しされるといいでしょう。
https://biznavi.smrj.go.jp/4621/
https://biznavi.smrj.go.jp/4621/2/
https://biznavi.smrj.go.jp/4621/3/
補助金も受けながら大きな展示会に出展したいのならば、ジェトロのジャパンパビリオンがお得です。
一方で、ブースの狭さやデザイン装飾などに制約がある(ジェトロ仕様に従うことが条件)といったデメリットもあります。
模倣にご用心!そのままだと真似されますよ
それって本物?
素敵なバッグですね。あれ?でも何か変ですね。
よく見たらそのブランド、世界的に有名なスポーツグッズブランドの模倣品ではないですか?
展示会には不特定多数の来場者が訪れます。出展業者は「これでもか!」と見てもらう工夫を凝らします。
できる限り商談成約に結び付く人と有意義な話をしたいところですが、中には出展物品、あるいは出展ブースの写真を撮る人も来場します。
自社の製商品には様々な知的財産権が詰まっています。デザイン、仕様、包装紙、包装紙のデザイン、ブランドネーム(ニックネーム)、ロゴ。
言うまでもなくこれらは自社の貴重な財産です。他人に真似されるのはノーサンキューですね。
(人目に触れる前に)知財の登録をしましょう
日本で自社のブランドなどを登録するのと同様、海外でもブランドや意匠権(デザイン)の登録を行いましょう。手続き方法や費用などは国際ビジネスが分かる弁理士さんと相談して下さい。
公的支援機関のサービスを利用するのも1つの手です。海外展示会に出展すると決めてからなるべく早い時期に相談されることをお勧めします。
(独)工業所有権情報・研修館(略称:INPIT インピット)で無料の相談サービスを提供しています。
海外展開知財支援窓口 https://www.inpit.go.jp/katsuyo/gippd_madoguchi/index.html
関西知財戦略支援専門窓口 https://www.inpit.go.jp/kinki/senmon_madoguchi/index.html
配布物は裸で渡しましょう
しっかり包装されたままのお菓子。危ないですね。中身のお菓子レシピ以前に、包装デザインを真似されてしまいます。
化粧箱やお菓子の包装紙が本物そっくりだと、ほとんどの人には見わけがつきません。自社のブランドに大きな打撃を与える許しがたい行為です。
こうした被害を防ぐためにも、試食品などは包装された状態ではなく、小分けに切って小皿に乗せて渡す(楊枝をつける)などしましょう。これだけでも模倣対策になります。
まとめ
自社に合った海外展示会を探すには、ジェトロのJ-Messeが便利です。
探し方そのものは中小機構の海外ビジネスナビも参考にしてください。
人目に付けば付くほど、真似されるリスクが高まります。
完全な防護はできませんが、海外展示会前に知的財産権を外国で登録するなどの対策をしておきましょう。
シリーズ3回目の次回は集客についてお話します。
▼バックナンバー
第1回 【海外展示会・見本市の活用】メリットとデメリット
【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、ジェトロや中小機構などの公的支援機関および民間企業向けに提供している。
URL: https://sub.toro-llc.co.jp/