
海外マーケティング支援を行っているトロ代表の芳賀 淳です。
輸出入業務とHSコード(関税分類番号、税番)は切っても切れません。
皆さんが普段使用しているHSコードは2022年版(HS2022 以下同様)ですが、FTAやEPA協定に基づく原産地証明書を発行(発給)するケースでは、HS2022よりも古いHS2017・HS2012・HS2007・HS2002で貨物を判断する必要があります。
なぜそのように年度がいくつもあるのでしょうか。HS2028は今のHS2022とどのように違うのでしょうか?

画像出典:筆者作成
1.HSコードの年度が5-6年ごとに改定される理由
ハイブリッドカーという車があります。エンジンと電気モーターを動力源とする車で、1997年に誕生して以来30年ほどの間に世界に広く普及しました。実はHSコードの世界でハイブリッドカーが専用の6桁番号(号、subheading)を与えられたのはHS2017からです。それ以前のHS2012まではハイブリッドカーは「その他の車」という区分でした。このように、技術の進歩、製品の普及の程度によって新規登場する貨物や番号があります。逆に、ほとんど使われなくなった貨物については個別に採番されたHSコードが廃止されて「その他」区分となることがあります。地球儀はHS2017までは490510という号を割り振られていましたが、HS2022では490590(その他のもの)という号に移動しました。
HSコードを決めるのはWorld Customs Organization(WCO、世界税関機構)という国際機関で、世界のほぼ全ての国が加盟しています(2026年1月現在で187国・地域が加盟)。WCO未加盟国であってもHSコードを使用しているのが実態です。
HSコードとは?調べ方は?(2019年4月記事を参照下さい) https://blog.conocer.jp/haga-overseas-sales02/
*日本税関の輸出統計品目表で、例えばHS2012を調べるには、2012年版から2016年版の間を調べます。HS2002については2006年版以前を調べます。https://www.customs.go.jp/yusyutu/index.htm
2.HS2028はいつから発効し、HS2022から何が変わるのか?
HS2028は2028年1月1日の輸出入から有効です。
HS2022と比べてHSコードの上4桁(項、heading)で6件追加と5件の削除、HSコードの上6桁(号、sub-heading)で428件の追加と172件の削除、が行われます。結果として、項は1,229件、号は5,852件、になります。
具体的な貨物で示すと、
- 公衆衛生関連:ワクチンが人用(3107)、人以外用(3108)に分割
- サプリメント:サプリメント(営業補助食品)の番号を新設(2107項)
- 環境関連:プラスチック廃棄物の見直し(3915項を中心に見直し)
という改定が大きなポイントです。
具体的にどのような貨物のHSコード改定が行われるかについては、WCOが発表した次のサイトを参照下さい。
HS2028の変更点(英語、仏語のみ) https://www.wcoomd.org/-/media/wco/public/global/pdf/topics/nomenclature/instruments-and-tools/hs-nomenclature-2028/ng0304ba.pdf?db=web
HS2022とHS2028の比較表
3.HS2028に向けた準備
HS2028改定でかなり多くの貨物への影響が想定されます。自社の貿易管理システム、受注・生産・出荷管理システムに手を加える必要があるかもしれません。
自社だけでなく海外の取引相手も同様な対応が求められます。
新規の海外取引相手の場合、交渉段階では社内システムやHS2028への準備状況などは把握しきれないかもしれません。正式な取引関係を結ぶ前に、相手の業務遂行力と財務状況を把握(信用調査)しておきたいものです。
まとめ
2028年1月からHSコードが新しいHS2028になります。医療・衛生分野、サプリメント分野、プラスチック廃棄物の分野で大幅なHSコードの改定があります。自社の対応だけでなく、海外取引相手の対応についても今からすり合わせしましょう。新規取引相手の場合、そのような業務力や信用力があるかということも調べましょう。
【プロフィール】
トロ 代表 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにて欧米アジア太平洋地域での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった。豊富な海外販路開拓や海外業務・貿易実務経験を活かしたアドバイスや研修サービスを、民間企業およびジェトロや大阪商工会議所などの公的支援機関向けに提供している。これら機関向けセミナー実績も多数有する。日本政策金融公庫「輸出ノート」や「輸出コラム」の執筆を担当した。
メール:info@torobull.jp